脊椎圧迫骨折とは

脊椎圧迫骨折とは?

脊椎圧迫骨折(脊椎椎体骨折) とは、胸椎や腰椎といった部位から成る背骨の椎体がつぶれるように折れる骨折のことです。

事故や転移性骨腫瘍の影響などによって年齢問わず起こり得ますが、よく見られるのは、加齢とともに骨が弱ることで生じるケースです。そのため、骨密度が大きく低下する「骨粗しょう症」のご高齢の方は要注意となります。

骨がもろくなっていると、脊椎圧迫骨折は強い衝撃なしに発生する場合も多く、そうした症例は「いつの間にか骨折」とも呼ばれます。

また骨粗しょう症の方の椎体が一つ折れると、別の椎体にも圧迫骨折を来す傾向があります。椎体の骨折が複数箇所に及べば、姿勢の変化から起立・歩行のような日常動作に支障が出る恐れがあり、痛みも相まって、寝たきりにつながることも少なくありません。

転んだり打ったりした覚えがなくとも、腰や背中に強い痛みを感じているのなら、特にご高齢の方は早めに医療機関を受診しましょう。



主な原因

ご高齢の方だと、転倒した際や重い物を持った際、時には体をひねっただけでも起こることがあります。

畑仕事や草むしり、大掃除のような前かがみになる作業を長時間行った後に生じるケースも多いため、注意が必要です。
また骨粗しょう症で骨が弱っている方の場合、「原因が思い当たらないのにどんどん腰痛が強くなってくる……」という症状の出方もあり、そうしたケースは「いつの間にか骨折」と呼ばれる症例の一つと言えます。

どんな症状が出るの?

主な症状は、背中や腰の痛みです。背骨の骨折だからといって背中の真ん中だけが痛むとは限らず、放散痛によって、腰から骨盤にかけての右側や左側にだけ痛みが出る場合もあります。横になって安静にしているときは痛みが楽になるものの、立ったり座ったり、寝返りを打ったりといった動作をすると痛みが出やすいのも特徴です。
骨折部が神経の通り道に影響を及ぼすようなケースでは、脚の痛みやしびれなどが生じることもあります。

どんな治療があるの?

骨折の重症度により手術治療を要する方もいますが、そうでない場合、安静加療とリハビリテーションによる保存治療が基本となります。

保存治療では 、鎮痛剤の服薬で痛みを抑えながら、骨折部の状態が落ち着いてくるまで2週間前後は寝たままの姿勢で安静を要することが多いです。加えて、コルセットによる外固定で前屈(おじぎの動作)を防ぐことにより、骨折部の変形進行をできる限り抑えます。
受傷後1ヵ月の間は、骨折部は不安定で容易に変形するので注意が必要です。特に体をひねる動作は良くありませんので、避けるようにします。

治療中~治療後に大切なこと

脊椎圧迫骨折の治療中~治療後にかけて大切になることの一つは、骨折予防に取り組むことです。骨が弱いままだとちょっとした弾みで、背骨に限らず、再度どこかの骨が折れてしまう恐れがあります。ご高齢の方が骨折を繰り返すと、寝たきりになるリスクを高めてしまいますので、骨折の背景に骨粗しょう症があるなら、骨密度の改善を図る治療を継続してください。

骨折が回復に向かってきてからは、医師やリハビリスタッフの指導のもと、体力を少しずつ取り戻していくことも重要です。無理のない範囲で運動を取り入れ、筋力低下を防ぐことは、転倒リスクの軽減につながるだけでなく、骨粗しょう症の改善にも有用といわれています。
ほかにも、ご自宅に転倒防止策を施してもらえると安心です。例えば、階段や廊下に手すりを設置できないか検討しましょう。滑りにくい靴下を履くのもお勧めです。

当院の入院・リハビリについて

当院では手術を必要としない保存治療が適応される疾患(胸腰椎圧迫骨折、恥骨骨折など)の患者様や、急性期病院で骨折などに対する入院加療後に引き続きリハビリが必要な患者様に対し、入院治療を行っております。

リハビリでは、ひとりひとりの患者様に合わせたメニューを作成し、リハビリ科のスタッフにより、入院早期から退院後の生活を想定しながら、丁寧に行ってゆきます。
ご高齢の患者様は整形外科的な疾患以外に内科的な持病をお持ちの方が多いですが、当院では各患者様に併診の内科医が1名、担当医としてつきますので、内科的な病態を伴っている患者様も安心してご入院が出来ます。

メッセージ

杉並区荻窪エリアにおいても高齢化は進行しており、それに伴いさまざまなお悩みを抱えておられる方が増加しております。

高齢になると、骨折のような外傷がなくてもあちこちの痛みが出やすくなります。

当院の整形外科外来では、腰痛や膝の痛みをはじめ、種々の整形外科的な症状に対して、患者様のお話をじっくり聞いて診察を行い、服薬療法・注射療法・日常生活へのアドバイスを親身に行うように心がけています。骨粗鬆症については手首の骨で骨密度を測定し、服薬加療や注射療法を行っています。
また、手術治療が必要なケース・専門医による加療が望ましいケースについては高次の病院への紹介を行い、さまざまなケースに対応いたします。

お困りの際は、お気軽にご相談ください。